高砂市の歯医者 歯科 藤原歯科医院 藤原歯科院住所 兵庫県高砂市米田町島18-29 TEL 079-432-1121
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『放っておくと大変、
でも歯槽膿漏は薬で治ります』

初めまして、この度、ご縁があってこのコーナーを月に一回担当することになりました、 藤原歯科医院 高砂市米田町の藤原一樹です。

先ず簡単な自己紹介と、このコーナーでどんな事をお報せしたいのかのと、意気込みを。(肩の力を抜いて!) 神戸中央市民病院で研修後、年診療所を開きました。(この道より我を生かす道なく、この道をイツマデモゆく。トホホ…) 自分の理想とする診療の形態を創るために(歯の治療を通じて患者様に豊かな人生を送っていただく)三回も診療所を作り替えました。

さて、ここでは「一日三回の歯ブラシが大事」とか「砂糖とムシ歯の関係は」等々のオーソドックスで巷であふれているありきたりの情報ではなくて、少しの独断と偏見はありますが、現在自分自身でやっていて非常に効果的で患者様に感謝されている最新の治療技術を紹介していきたいと思います。

あなたは歯槽膿漏で、一本そしてまた一本と歯を失うのはイヤじゃないですか?歯周病いわゆる歯槽膿漏とは、 読んで字のごとく歯の周りを支えている槽から膿が漏れ出している状態です。膿とは、簡単に言うと白血球とバイ菌が戦った結果できたものなんです。

つまり、歯周病の原因はさまざまなバイ菌なのです。そうです、うつる病気・感染症なのです。 (飲み物の回し飲み・口移しで食べ物をあげる・キス等でもうつる可能性が高いです)そして、代表的な感染症である風邪をひいた時、普通は抗生剤化膿止め等の、薬を飲んで治しますよね。

そうなんです、歯周病も薬で良くなるんです!この治療法は、1998年頃から熊本県の開業医 生田先生から始まったという所が素敵でしょう。(これからも紹介させていただく情報はほとんど開業医が考えた治療法ばかりです) 従来の固定観念にとらわれず、結果を優先し、理屈は後から付いてくるのです。

しかしと言うか、やはりと言うか、 こういう治療法は学会からは「科学的根拠に基づかないものは認められない」と言われています、しかしこの薬で治す治療法も、 少しずつ学会からは認められつつあります。

お待たせしました、やっとここから具体的な治療法をお話していきます。先ず、お口の中の歯垢を少し取り出して、特別な顕微鏡でバイ菌を調べていきます。その時に、歯周病の原因となる特定の細菌やカビ類、 原虫がいなければ、あなたは歯周病ではありません。無罪放免です。

しかし、歯肉からの出血・腫れ・膿が出る・口の中がネバネバする・歯が冷たい水でしみる・歯が動いていて噛むと痛い、こういう方のお口の中には残念ながら、量の多少はありますが、大抵歯周病の原因となるバイ菌が認められます。

そこで今までですと、先ず歯ブラシの指導(若い衛生士さんに「この場所には○○法で、この場所には△△法で」と懇切、丁寧に教えられ、磨き残しの部分を指摘されたり、食事の指導・歯石取り。それでも良くならないと外科的に悪い歯肉を手術する)。これが一般的に行われている治療法です。辛いし時間もかかって大変ですよね。

薬で治す方法というのは、もっと楽で簡単です。(もちろん歯を磨かないのは論外ですが)先ず、お薬を三日間飲みます。この薬は最近開発されたもので、三日飲むだけで一週間効果が持続するという優れものです。しかし薬ですから、アレルギーの人・心臓や肝臓に疾患のある方には使えませんし、また下痢や胸がムカムカ・食欲不振等の副作用が絶対出ないとはいえませんが、比較的重い副作用は出ないと言われています。

それと一緒に、甘いシロップ液−見た目は茶色でドロッとしていて気持ちの良いものではありませんが、心配いりません。後で仕上げの磨きが必要な程甘いものです−をブラシにたっぷりつけて上下の歯肉にたった四分間、薬をしみ込ませます。しかも、一日三回必ず必要です。でも、ここで挫けてはいけません。たった十日間この努力をするだけで、歳をとっても一生自分の歯で食べられるのです。

治療を始めてから三日目と一週間目に、先程の特別な顕微鏡でバイ菌の減り具合を確認します。全員とは言いませんが大体の患者様はバイ菌が見事に減少しています。従って、効果は100%あるとは言いませんが(タバコを吸う人・不具合のつめ物・かぶせた物・汚れた入れ歯を入れている人達には効きにくいです)、大した努力なし?に今までのお口の中の悩みと心配から開放されるのです。

こういう素敵な治療法なのですが、一つだけ大きな欠点があります。それは、現在のところ保険が全く使えないのです。つまり、自費の治療になってしまうのです。それから、よく「再発の心配」を質問されるのですが、こういう風にお答えしています。「今は雑草が一本も生えていない、綺麗なお庭口の中の状態です。一度こうしておけば、1〜2ヶ月に一度、少し生えてきた雑草バイ菌掃除にきてください」と。

これが、今回皆様にお話ししたかった最新治療法です。
どうです、目からウロコだったでしょ!!

『ムシ歯は削りません』

第一回目の歯の話で紹介しました「歯周病は薬で治る」はいかがでしたか?第二回で紹介するのはムシ歯の新しい治療法についてです。 この治療法は、新潟大学で研究され、仙台の開業医・宅重先生が主になって開発された方法なのです。 (今回も前回と同じく、開業医が行っている治療法です。)

昔、私が大学で教えられたのは「ムシ歯になっていたら悪くなっている部分を全部ガリガリと、徹底的に削り取って、中をキレイにしてからつめる」というものでした。今でも多分そう教えられていますし、大半の歯科医院ではそういう風に治療しています。

しかし、小さなムシ歯の場合はそれでも良いのですが、大きなムシ歯では、つめるだけの予定だったのに、後になって水やお湯にしみたり、痛みが起こって、歯の神経を取って、歯をかぶせる治療になってしまう事が往々にしてあります。これを最大限に防ぐのが、この病巣無菌化組織修復療法(スリーミックス法)です。

病気を治す原理は、病原菌の殺菌です。バイ菌がいなくなると身体は自分の力で治ります。これがスリーミックス法です。普通、ムシ歯の治療は、削り取る治療です。スリーミックス法は、少し削り軟膏をムシ歯のところに入れるだけです。(ここのところに多少の技術とコツが必要です)

この、軟膏の中には三種類の抗生物質が入っています。それでスリーミックス法と言うのです。ただ、この軟膏を適正に管理するのが大変なのです。先ず、新鮮である事、又温度や光の影響を受けて劣化しやすいのです。スタッフは、毎朝その日一日使うだけの量の軟膏を創る為に、錠剤やカプセルをすりつぶし、専用の容器に保管をして、使用する直前に三種類を混ぜ合わせるという大変な手間をかけて頑張ってくれています。

これだけの手間ひまをかける事により、このスリーミックス法を使うと、歯を削る量が少ないので、削る痛みが小さくなり又、従来の方法では歯の神経も取らなければならない場合でも、神経を助けられる可能性が高くなりました。

もちろんこのスリーミックス法が万能ではありませんが、第一番目の選択としての治療法としては非常に優れている方法だと思われます。又、ムシ歯の治療だけでなく、神経の治療や、歯茎の腫れの解消にも使われています。削り過ぎなくて済む、歯に優しい最新の治療法を紹介してみました。

次回は、取り外しの入れ歯に替わっての人工歯根(インプラント)について、お話ししたいと思います。ご期待ください。

『第三の歯・インプラント(人工歯根)
について』(その壱)

今月お話するのは、インプラント(人工歯根)についてです。最近よく新聞でインプラントの説明会が目につきますが、あなたはいかがですか? このインプラント治療も開業医によって広められたのですが、意外でしたか?

筆者が始めた1980年頃には、大学や公立病院ではほとんど取り上げられなかった治療法です。現在では、大学や公立病院の歯科にインプラント外来があるのは、当時を知っている歯科医としては、昔日の感があります。このようにブームにもなっているインプラント治療について詳しくお話をしたいので、三回に分けていきたいと思います。

インプラント治療とは歯の抜けた場所に植える治療法ですが、先ず抜けたまま放置していると、どういう弊害が起きるかの説明から。

@かみ合わせる相手がいなくなると対合していた歯が伸びてくる
A抜けた部分より後の歯が前に倒れてくる
Bかむ機能が低下する
C見た目が悪くなったり様々な不具合が起こります。

特に@とAが咬合病(顎関節症)の大きな原因です。

続いて、不幸にして歯が抜けた時のインプラント以外の治療法と、その利点欠点についてお話しします。

@取り外しの部分入れ歯。
これは、残りの歯を削らなくてすむという利点もありますが、口の中に入れると嵩張った感じがするのと、粘着性の食べ物で、はずれ易いという欠点があります。
Aセメントで固定するブリッジ(固定性架橋義歯)。
これは、部分入れ歯の様に外れたりしませんが、前後の歯を削らなくてはならないという大きな欠点があります。

続いてインプラントの歴史についてです。古代エジプトの時代がその起源のようですが、近代のインプラントとしては筆者が調べた限りでは、1885年アメリカ人のヤングが歯のないところに歯を植えたのが始まりです。現在の形態に近いインプラントは1955年から1960年にかけてアメリカで行われたそうです。日本での草分けは、山口県の開業医の山根稔夫先生です。発端は、1965年のサルの歯の移植です。その後、ヒトにヒトの歯を移植、ヒトに金属の人工歯根を移植と発展して現在に至っています。

筆者が1980年に宇部市の山根歯科医院に研修に行った時に、山根先生の口の中を見せていただいてびっくりしました。先生は悪くもない自分の歯を抜歯して様々なインプラントを自分で試していたのです。山根先生のグループ内では、日常的に行われていたことですが、非常に印象的で四半世紀たった今でも、あの時の先生の笑顔が思い出されて懐かしいです。とても私には出来ないことでした。その弐に続く!!

『第三の歯・インプラント(人口歯根)
について』その弐

先月はインプラントの利点・欠点・歴史についてお話ししましたが、退屈ではなかったでしょうか?なるべく判り易い説明を心掛けていますが。さて今度は、せっかくインプラントをやってみようと思っても難しい場合があります。今月はその事についてお話します。

先ず健康状態ですが、歯を抜いても大丈夫な状態であれば、普通問題はないと思います。次に問題になるのは、骨の量と厚味です。最近のインプラントは、非常に骨とのなじみが良くなっているので、約一センチあれば、何とかできると、当院では説明しています。

それではもっと骨の量が少ないケースではどういう方法があるか説明をします。もっとも簡単に骨を増やす治療としては、人工骨・人工膜・濃縮した血小板を骨のない場所に埋めて、骨を増やすという方法です。

続いて、もっと骨を増やす方法です。上顎の骨には、大きな空洞があって、案外骨の量が少ないケースがありますが、その空洞内面は卵の殻の内側にあるような薄い膜でおおわれています。骨の量が少ない場合には、その膜をソーッと破らないように下から持ち上げて、そこに人工骨を挿入して骨の量を増やして、インプラント治療を可能にする治療法が簡単でよいのですが、技術と経験が必要になります。

次に下顎の骨や上の前の骨の少ない場合には、もっと大掛かりな手術法(仮骨延長法)というのが採用されます。これは、先天的に身長の発育が良くない方の脚の骨を徐々に伸ばしていくという治療法と同じ方法で、これは中にスクリューネジを仕込んでおいて、定期的にそのスクリューを締めていくことにより、少しずつ骨の量を増やしていく方法ですが、これらの方法は、ある程度の痛みや腫れがともないますし、インプラントを埋めるまでにある程度の期間も必要とします。

それでもしかし、医療の長足の進歩により、今まで骨がない為にインプラントを諦めていた患者さんにも、骨を増やしてあげてインプラント治療が出来る様になった事は、素晴らしい事だと思います。この様な骨を増やす治療法は、技術と経験と設備を必要としますので、今までインプラントを諦めていたあなたも、一度インプラント専門医に相談されてはいかがでしょうか?残念ですが私には少し手に余る治療法になります。

今月は少し難しい説明になりましたが、お許しください。いよいよ来月は、具体的にインプラントの手術法をお話してみたいと思います。

『第3のインプラント(人口歯根)』

2ヶ月にわたって、インプラント治療についてお話してきましたが、今回でインプラントシリーズは最終章とします。 今月お話をするのは、インプラントの具体的な埋入法についてです。

先ず、埋め込むインプラント本体ですが、金属のチタンで出来ています。このチタンが現在のところ、一番骨とのなじみが良い材料なのです。さらに、骨の中に埋め込む部分には、各メーカーがそれぞれ工夫をしています。色々な材料・方法で表面処理がなされていて、ますます骨とのなじみが良好になり、今までは植えてから3〜6ヶ月もの間骨との接着を待ってもらっていましたが、 条件が良ければ、1〜2ヶ月でかめるようになるケースが多くなり、「こんなに早くかめるようになってうれしい」と喜びの声をいただいています。

もう少し本体について説明しますと、メーカーによって少しの違いはありますが、直径が3ミリから5ミリの円柱形をしています。そして、この本体も、骨の中に埋め込む部分と、歯肉の上に出ている部分とが2つに分かれていて、後でこの2つの部品をネジで留めて繋ぐツーピースのタイプと、最初から骨の中に埋められる部分と歯肉の上の部分が一体になっている、ワンピースタイプとがあります。

最初は、ツーピースタイプが主流でしたが、操作が複雑なのと、部品の数が多くなる、せっかく繋いだ上の部分と下の部分がゆるんでくるケースがあるというような欠点を補う為に、ワンピースタイプが開発されました。それぞれの長所・短所を考えて、症状に応じて選択されています。

手術法としては、基本的には、それぞれのインプラント体の直径に応じた穴を骨の中にドリルで掘って(初期の頃は出来るだけ深くしていましたが、余り深すぎると神経を圧迫しての麻痺や、血管を傷つけて出血が止まらないような事故を防ぐ為に、表面処理の効果もあって、段々浅くなっている傾向があります。)インプラント体をねじ込みます。

又、ツーピースタイプのインプラントを埋入する場合には、骨の中に差し込んだ後、歯肉を縫い合わせて、完全に顎骨の中に本体を埋めた状態で骨との接着を待ち、3〜6ヶ月後にインプラント本体の部分だけの歯肉を丸くカットして、上下の部分を繋ぐという、2回の手術が必要とされる2回法と、なるべく1回で済まそうという1回法とがあり、それぞれ又一長一短があります。

いずれの材料・方法を行うにしても、埋め込む部分の骨の厚味や量、神経や血管の位置をレントゲンやCTで充分調べて、行う必要があります。決して万能で安全な治療法ではないので、安易に行う方法ではありませんが、抜けてしまった部分を補う方法としては、自費の治療で高額ですが、優れた治療法の一つだと考えられます。でもその前に、あなたも歯を喪わない努力をしましょう。

『入れ歯の話』

3回にわたってインプラント治療についてお話しましたが、今月からは不幸にして(自己責任?)歯を多数なくしてしまい、インプラントやブリッジ(固定性架橋義歯)では対応が出来ず、取りはずし式のいわゆる「入れ歯」しか選択肢のなくなったあなたに、「入れ歯」についてのお話を、何回かに分けて説明していきます。

先ずあなたは、「入れ歯」をただ単に食事をする為や、見た目を悪くしないための道具とだけしか考えてはいませんか?だから、少々「入れ歯」に不都合があると、ついつい、はずしたままで引き出しにしまい込んだままにしてしまうのです。極端な場合には、上も下も1本も歯がなくても、いわゆる顎の土手で少々のものならかめてしまうので、「入れ歯」など必要としないという方もいらっしゃいます。

しかし、「入れ歯」というものにはもっと大切な役割があるのです。 最近お年寄りを介護するための施設があちらこちらに出来ていますが、管理が大変なので、入所者の「入れ歯」を預かってしまって使用しない施設があるそうです。その反対に歯科医を常駐させていたり、定期的に歯科医院に送迎して、しっかりした歯科治療や「入れ歯」をお年寄りに作ってあげている施設とでは、痴呆になるお年寄りの数が圧倒的に違うそうです。

もちろんあなたは、どちらの方の施設に痴呆のお年寄りが多いかお判りですね。そうなんです、ちゃんとした「入れ歯」で咬むことによって、脳への血液の流れを良くできるので痴呆にならないのです。

顎は第2の心臓とまで言われているのです。我々歯科医の間では、名前を呼びかけても反応しないし、車椅子生活だった痴呆のお年寄りに、「入れ歯」を入れてあげるだけで、車椅子から自分で立ち上がり、スタスタとまではいきませんが、なんとか自力歩行が出来るようになり、退所されるという例がたくさんあるのは、周知の事実になっています。

さてそれでは本題に入りますが、先ず「入れ歯」の種類についてお話します。一本でも歯が残っている方には、その残っている歯にクラスプ(バネ)をかけて安定させる「部分義歯」と、一本も歯が残ってなく、入れ歯自体に吸着力を与えて安定させる「総義歯」(いわゆる総入れ歯)の二種類があります。「部分義歯」も「総義歯」も我々歯科医にとっては、なかなか技術の発揮しがいのある治療なのですが、特に経験や口では説明しにくいようなコツやカンを必要とする「総義歯」から順を追って説明をしていきたいと思います。

医療を本気でやっていくと、必ず壁にぶつかります。

保険証をキップ代わりにして「痛みだけを止めてほしい」「歯を抜いてほしい」と、歯科医院を渡り歩く患者さんのなんと多いことでしょう。歯科医は患者さんの歯の痛みをとり、抜いては入れることの繰り返しです。これでは壊れていく患者さんに助力しているのと同じことです。

私の医院では、一本の歯が痛んだとき、そして一本の歯を抜くとき、患者さんに「この歯はあなた自身なのです。 その歯が『何とかしてほしい、これからもあなたと一緒に人生を歩みたい』と泣き叫んでいます。その叫びが痛みなのです」ということに気づいてもらうために必死の努力をします。

例えば、あなたが歩いているときに靴のかかとが取れたとします。そのまま歩き続ければ足首が痛くなり、やがてその痛みはひざや腰にまで及んできます。そんな時あなたはどうするのでしょう?ある人はマッサージに通い、ある人は整形外科へまたある人はそれでも歩き続ける・・・。でも誰もが賛成する一番簡単な解決方法は、靴屋さんへ行ってかかとを直すか、新しい靴を買うことです。更に言えば、普段から手入れをして取れかかったかかとに気づいたときに、いち早く修理をすること。これは一つの『危機管理』で、費用もそれほどかかりません。

虫歯を放置したり抜歯したままにしていることは、手入れを怠って取れてしまった靴のかかとと同じことなのです。ではなぜ、歯についても同じ解決策をとらないのでしょうか?いつの間にか痛みが治まってしまったから、たかが歯一本ぐらいと思っているから・・・、理由はいろいろあるようですが、その根本は、歯が自分自身であることに気づいていないからです。

つまり、一本の歯を大切にしない人は自分自身も大切にしていない人なのです。自分自身を大切にして愛していれば、忙しくて時間がない、お金がかかるなどは何の理由にもならないはずです。 一本の歯の痛みをチャンスとして是非、自分自身への『愛』に目覚めてください。

『総入れ歯(総義歯)を創る時の
歯科医師の努力と苦労』


今月からは、前々月に予告したように総入れ歯(総義歯)についてお話したいと思います。一本でも歯が残っていれば、その歯にバネ(維持装置)をかける事により、まがりなりにも、何とか落ちたり動いたりしない入れ歯を作れるのですが、一本の歯も残っていない総義歯の場合は、ごまかしがきかないので、そこに歯科医の苦労があるのです。まあやりがいがあるといえばあるのですが、報われる事の少ない、どちらかといえば、あまり手掛けたくない仕事です。

特に度重なる保険の治療法改悪の為、約四回の工程で完成させてしまわなければならないので大変です。以前の保険制度でしたら、もう少し工程に余裕があったのですが、現状では治療回数が増える程、不採算になるシステムになってしまいました。泣き言を言っても仕方ないので、いよいよ本題総義歯の作り方に入ります。

先ず一番最初の工程は、型採りです。これでもって入れ歯の大きさがほぼ決まってしまう大事な作業なのですが、十人十色…。患者さんによって歯肉の厚さは一定ではないし、歯肉の下にある骨の状態も異なるし、口を開けている時と閉じている時では、歯肉の状態が変わってきますし、技術が必要なところです。

これが上手くいくと次の工程は、入れ歯の高さを決める作業です。これがまた歯科医泣かせでして、大いにセンスや見る目が必要とされるのです。高さを決定するには、一応の基準があるのですが、最終的には、見た目で決めます。今までの噛み癖や顎関節症のある方、緊張のなかなかとけない方の場合には、大いに苦労しています。

以前の保険制度でしたら、もう一度トライする事が出来たので良かったのですが、今は一発勝負です。このテクニックを修得する為に福島県まで行った事があったのですが、直通の飛行機に乗り遅れてしまい、飛行機と新幹線を乗り継いで行ったのも、今では良い想い出です。

せっかくこうやって苦労した工程も、最後にロウで作った状態から、最終的なレジン(プラスチック)に置き換える工程の時に、変形やヒズミが出てしまい、その誤差を補修するのがまたまた大変なのです。

こうやって苦労し完成した総義歯を患者さんの口の中に収める時が一番緊張します。すんなり安定した状態であればいいのですが、現実はトホホな時も多いです。そしてこれからが、患者さんにある程度まで満足してもらうまでの長い長い調整の作業が始まるのです。私の感じとしては、良く出来た総義歯でも自分の歯があった時の3〜4割の機能回復が出来れば上出来だと思います。

次回は、予算は掛かりますが、動かない痛くないかみしめる事の出来る入れ歯を創る2・3の方法をお話したいと思います。それでも限界があり、未だに私自身満足出来る総義歯を創れた事はありません。陽暮れて路遠しの心境です。

もう少しかめる総義歯(総入れ歯)にする方法

前回は、総義歯を創るときに歯科医はどのように苦心しているかお話しましたが、今回は工夫を加えることによりもう少しかみしめることが出来たり、痛くない義歯ができるというお話をします。

まず一つ目は生体用(医療用)のシリコンを義歯の内側(歯肉に直接、接している部分)に貼り付ける方法です。従来ですと歯肉の上に直接硬いプラスチック製の義歯が乗るのですから、靴擦れのような傷をしたり痛みがあったりして、せっかく作った義歯を使わなくなる最大の理由になるのですが、内側に柔らかいシリコンを裏打ちすることにより、クッションの役目をしてくれるのですから、かみしめる力が約三倍にアップしますし、痛みも出にくいですし、一種の吸盤になるので吸着が良くなり口の中で安定するというなかなかの優れものです。

しかし裏打ちをするための下準備として三四回の通院が必要ですし、最終的には約一週間はその義歯をお預かりすることになり、その間はその義歯が使えないので、あらかじめ予備の義歯を用意しておくか、義歯なしで食事をするという不都合があります。又以前は生体用シリコンを義歯に接着剤で貼り付けていたので、剥がれてくるという欠点もありましたが、近年は改良されて、はがれにくくはなっていますが、日数が経つにつれて表面がざらざらになったり、変色したり着色したりするようになるので、ある一定期間になると裏打ちをやり直す必要が出来て来ます。

続いて二つ目の工夫として、ミニインプラント法を紹介します。これは直径一・八ミリ長さ十三ミリの釘のような小さなインプラント(頭の部分がマッチ棒の頭のようになっており長さが三・八ミリ)を四本歯肉の上から骨の中に植え、歯肉の上に突き出しているマッチ棒の頭様部分に義歯の内面に仕掛けた部品がはまり込んで義歯の安定を図るという方法です。義歯がカッチと固定されるのですが、ミニインプラントを四本も植えるという外科手術が必要になるというのと、硬い骨でないと利用できないので、骨が柔らかい上顎には駄目で下顎の義歯にのみに限定ですし骨にある程度の厚みと高さがないとだめです。

なかなかパーフェクトなものはないというのが現状ですが総義歯でお困りの方は一度歯科医師に相談されてはいかがでしょうか。しかしどの補助手段を使うとしても、その義歯がしっかりと創られているというのはいうまでもないことですが。


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