『入れ歯のお手入れ法』
以前、兵庫県歯科医師会の調査で、自分の歯が二十本以上残っている七十歳以上のお年寄りは、四本以下と比べ、身体の病気で費やす医療費が一ヶ月で平均九千円も少ないことを話しましたが、今回詳しい発表がありましたので、本題に入るまでに先ずお報せします。
昨年五月に歯科治療を受けた七十歳以上の男女三万二千六百人を対象に、同じ月の歯科以外の医療機関への通院日数や医療費を算出した結果、残存歯数が四本以下の人は、歯以外の医療費が平均二万六千五百円だったのに対し、二十本以上の人は一万七千八百円で、歯が多いほど医療費が少ない傾向が見られた。又平均通院日数では、神経系の病気(パーキンソン病・アルツハイマー病など)では残存歯数二十本以上の人が二・一七日なのに対し、十九本以下の人は三・五六日と一・六倍。循環器疾患(高血圧・心疾患・脳梗塞など)でも二十本以上が二・四六日に対し、十九本以下は二・八二日と残った歯が多い人ほど通院日数が少なく、健康状態のいい事が分かりました。
続いて本題に入ります。
入れ歯のお手入れを怠ると「ぬめり」や「臭い」が発生し、気持ち悪くなります。一般的には「入れ歯洗浄剤」が使用されますが、長時間これらが発生しない、安価で手軽な方法をご紹介します。
先ずは「入れ歯」を歯ブラシなどを使用して水洗いしてください。もし頑固な汚れがある場合は、その汚れのあるところだけ歯磨き粉などでブラッシングしてください。通常は歯磨き粉は使用しないでください。
次に百℃の温度計を用意し、お湯を作ってください。(百℃の温度計は四百円位で入手できます。)温度は七十度と八十度の間で、絶対八十度は越さないでください。普通の温度計は目盛りが小さくて、見難いので、お酒のおかん用に使われる「おかんメーター」という商品名の温度計は、四十度から七十度までの目盛りが大きくなっていて、非常に見易くて患者さんに好評です。
このお湯に「入れ歯」を一分間浸けるだけで「入れ歯」の表面中に入り込んだカビや細菌がほとんど死滅してしまいます。「入れ歯」は顕微鏡で見ると小さい穴がたくさん開いています。この中にカビや細菌がたくさん住み着くので薬液や水洗いでは効果が少ないのです。
実際にお湯に入れる前と後で細菌検査してみると、お湯に入れた後は全く細菌が死滅していることがわかりました。一分間お湯に入れた後の「入れ歯」は「ぬめり」や「臭い」が無くなります。お口の中が気持ちよくなりますので、お試しください。この方法は一日一回で大丈夫です。
|