『ムシ歯はウツルんです』
世の中の景気は、少しずつですが良くなっているようですが、医療を取りまく環境は、相変わらず良くありません。特に弱者の高齢者や障害のある方の医療費の負担が増える傾向にあります。前回にもお話しましたが、残っている歯の数が多い人は、一般の医療費が少なくて済むという事が判っているのですから、今年も「はっ歯っハッ」と笑える一年になりますように、痛みがなくても歯の手入れに2〜3ヶ月に一度の歯科受診をお勧めします。
さて今回あなたにお話をするのは「ムシ歯はウツル病気」だということです。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、ムシ歯の主な原因となるミュータンス菌はいないんです。ムシ歯になっている大人の人から同じ食器や食べ物の口移しをする事によって、ムシ歯のミュータンス菌が赤ちゃんに感染するんです。そうです「ムシ歯はウツルんです」。
では、かわいい赤ちゃんの為に、私達はどうしたらいいのでしょう。まず授乳法の問題があります。免疫学的にも母乳の方が人口乳よりも優れているのですが、母乳の方が人工乳に比べて、時間的に不規則になり、回数がどうしても多くなるので、ムシ歯になる危険性は高いそうです。もちろん人工乳の場合には、哺乳瓶を長時間くわえたままにするのも良くありません。特に1才半から2才半の間に、ミュータンス菌に感染しやすいのです。続いて私達大人が出来る事としては、お母さんだけではなく、お父さんやおじいさん、おばあさん自身の口の中をもキレイにしておくことです。そして、歯科医院での定期的な受診です。
でもそれ以外にも有効なムシ歯予防があります。それは、毎食後のキシリトールガムやタブレットを噛んだり舐めたりすればいいんです。キシリトールはムシ歯の原因となるバイ菌を減らしてくれます。甘さは砂糖と同じなのに、酸を作らないので、ムシ歯になりません。主に白樺や樫を原料に作られている安全なものなので、カロリーも砂糖の75%で、摂取しても血糖値を上げないので、糖尿病の方にもキシリトールは使えます。使用するにあたってもっとも大切なことは、どれだけ永く続けられるかという事です。最低3ヶ月は続けて下さい。ただ一度に大量に食べ過ぎると、お腹がゆるくなることがあるので、気を付けて下さい。
お母さんから赤ちゃんへの感染を予防する為には、生後3ヶ月ごろから、キシリトールをスタートして下さい。キシリトールはコンビニでも手に入りますが、歯科医院販売品は一粒あたりのガムの大きさが約2倍になっていて、キシリトールの量も多く、ガムベースを硬くして、金属の詰め物に付きにくくしているものや、歯の再石灰化(初期のムシ歯を治す)を促進する物質が多く含まれているものもあり、なかなかお勧めですよ。
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