☆実はファンでした☆
それほどの将棋ファンではなかったのですが、昔、日曜日?にNHKの将棋番組にユニークな解説者がいました。独特の口調で、なかなかおもしろい切り口で解説をされるので、ルールしか知らない私でも、毎週楽しみにしていました。その解説者、日本将棋連盟 六段の神吉宏充さんが、まさか当院の患者さんだったのです。そこで無理を言って、特別寄稿をお願いしたのです。
☆勝負師と歯☆
「歯を食いしばる」とは勝負の世界でよく使う言葉だ。苦しくても歯が最後の防波堤のような感じがあるところが面白い。私の解説はズケズケものを言うのが面白いと評価される。「歯に衣着せぬ解説」と。将棋をファンに楽しんでもらう解説をすると、自然にこうなる。先日、私の師匠で「お
ゆき」が大ヒットしたことでも有名な、内藤國雄九段が大局(試合)中、ムシ歯の強烈な痛みに襲われた。そこでお昼休みに対局場を抜け出し、歯医者さんに飛び込んだ。「何をしてもいいから痛みを取ってくれ」と懇願し、処置を受けたが、やはりその歯が気になって勝負に集中できず、結局内容もボロボロで負けてしまった。勝負師が集中を欠くと、いくら達人でも勝てないのだ。
私の知人のプロレスラーは、現役の時は総入れ歯にしている。普段殴られたり鉄柱にぶつかったりするから歯はボロボロで当たり前。「失礼します」と食事の時、入れ歯を外されたのにはビックリしたが「引退したら、インプラントを入れます」とやはり、気になる様子。最後はちゃんとしたいのである。喉元過ぎれば暑さ忘れるは、何故は歯にはピッタリの言葉だ。痛みが取れれば、こんな粗末にされる体の部分は少ない。そして激しい痛み…治療を経てまた違うムシ歯が笑う。まるで堂々巡りを演じているようだが、かく言う私も堂々巡りのクチだから歯科医院にお世話になりっ放し。勝負の世界で生きる者として、失敗は繰り返さないがモットーなのだが…。
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